西山コラム

つぶれない会社の法則

月次決算で会社の「傾向」をつかみ、いち早く手を打つ

月に1度、「会社の数字」をチェックする「月次決算」は大切です。
でも、単月の数字だけで、会社の状態を判断することはできません。毎月続けることで、会社の「傾向」をつかみ、手を打つことが可能になります。ここでは、「つぶれない会社」のシナリオをご紹介します。

CASE:数字のチェックを怠らない飲食店の太田社長の場合

「父から継いだ会社を絶対つぶさない」と、会社の数字のチェックを怠らない飲食店の太田社長。2つの数字を毎月しつこく追いかけます。
1つ目は、「粗利益の移動年計」の推移。実際どんなものなのか、弊所の月次レポートを見てください。(下図)

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「移動年計」とは、当月から直近1年間の合計の推移をいいます。
7月なら「前年の8月から今年の7月まで」の合計です。
8月なら「前年の9月から今年の8月まで」の合計です。

毎月の粗利益の推移表は(右図)、「月ごとの粗利益が増えた、減った」というのはわかりますが、季節変動の影響を受けるので「傾向」がつかめません。
ところが、移動年計なら毎月決算をしているのと同じなので、「傾向」をつかむことができます。推移表に凸凹があったとき、何が原因だったのかを探ることが「つぶれない会社」への第一歩になります。

太田社長は、この移動年計のグラフが、3ヶ月連続で下降線をたどったときに「減少傾向」に入ったと判断して
・責任者を変える
・商品構成を見直す
・重点商品を見直す

などの対策を打ちます。こうすることで、ずるずる業績を下げないのです。2つ目は、「貸借対照表(=B/S)の数字」の推移です。
これも実際どんなものなのか、弊所の月次レポートを見てください。

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B/Sを見る、というと嫌がる社長も多いですが、チェックの仕方はとても簡単です。
それは、
・「当月」の数字が、「期首」と「期末見込み」の数字の間に収まっているかどうかをチェックするだけです。上記の表では、売掛金がオーバーしています。太田社長は早速、売掛金が増えた原因を探って対策を打ちます。
仮に、期末の数字を決めていない会社でも、過去の数字を四半期ごとに百分率で表示することにより、チェックすることが可能です。

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太田社長は

「中小企業は、年次決算時に前年の数字と比較するだけの会社が少なくない。
でも、それでは変化をつかみづらいし、気づかなければ手遅れになる。会社の問題点を早く見つけて、対策を打つには毎月のチェックが必要だ」と言います。

ポイント

赤字で倒産する会社よりも、資金不足で倒産する会社のほうが断然多いです。
倒産を防ぐには、
・会社の数字の「異常値」に早く気づく
・素早く対策を打つ

ことです。「異常値」を見つけるポイントは、
・時系列で見る

こと。これが”会社をつぶさない社長”の秘密です。

経営改善
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