西山コラム

亡くなった父親の医療費を子が払った場合

 

被相続人の死亡前 被相続人の死亡後
被相続人の相続税申告 死亡後に支払った医療費は、相続税の計算上、債務控除できる
被相続人の準確定申告)  被相続人が実際に支払った医療費は、被相続人の準確定申告において医療費控除をすることができます。相続人が支払った金額は、被相続人の所得から控除することはできません。
相続人の所得税 被相続人の医療費を支払った相続人が、その時点において被相続人と生計を一にする親族であった場合には、相続発生後に支払った被相続人の医療費は、その相続人の所得税の計算上、医療費控除となります。

医療費控除は準確定申告時でもできます。

但し、「生計を一」にしている相続人がいる場合には、医療費控除の申告者を誰にするのかで所得税が変わります。

●被相続人の準確定申告で医療費控除をする場合

被相続人の準確定申告で、医療費控除をすることができます。

ただし、死亡日までに支払い済みの医療費は控除対象となるものの、死亡日後に支払った医療費は控除することは出来ません。

●相続人の確定申告で医療費控除をする場合

「生計を一」にしている相続人が被相続人よりも所得が多ければ、相続人の確定申告で被相続人の医療費を控除したほうが有利になります。

また、「生計を一」にしている相続人であれば、準確定申告で控除対象とならない、死亡日後に支払った医療費を控除することが出来ます。

●相続時の債務としての医療費

相続発生時に未払の医療費がある場合には、相続税の申告の際に債務控除することができ、かつ「生計を一」にしている相続人の所得税の医療費控除もできることになります。

つまり、被相続人と「生計を一」にしている相続人であれば、債務を承継して相続税を減らすことができると共に、医療費控除を受けて所得税も減らすことが出来るのです。

裏を返せば、被相続人と相続人が「生計を一」にしていなければ、医療費という債務を承継した相続人は被相続人の医療費の領収書を使って所得税の還付申告は受けることができないことになります。

●「生計を一にする」とは?基本通達(所基通2-47)。

必ずしも同居を要件とするものではなく、勤務・療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費・療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

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